日進ムーンウォーカー

Alien to people, Behind people, Closed to people, Distant from people, Eliminate me Fujita

APMキャラクターエッセイ③「妖精バック」

私はずっとコイツを矢面に立たせたいと思っていた。Fire!

f:id:Betterthannot:20200427091228g:plain

妖精バック

https://tgws.plus/anpandb/youseiback

↑データベース

https://www.anpanman.jp/about/friends/lnux6id704rgu486.html

↑端的すぎる公式解説

 

私がこの悪魔族星1通常モンスターみたいな風体のキャラクターを親の仇のように(お気に入りの副詞句)憎み、白眼視するのも納得頂けると思う。

公式紹介曰く。

森に住む妖精。考えていることと反対のことを言うので、周りは勘違いをしてしまう」。

 

ガチで悪魔族星1通常モンスター感あって草。

あの・・・人違いだったら申し訳ないのですが・・・この前ダーク・ネクロフィア特殊召喚したときゲームから除外されてました?人違いだったら申し訳ないのですが・・・

ちな参考までに魔法使い族星1通常モンスターの「封印されし者の左足」のカードテキスト:「封印された左足。封印を解くと、無限の力を得られる。

 

問題はそこではない。

このキャラクターが最高にクレイジーなのは、このキャラクターが「ただあまのじゃくなだけ」という点においてである。こいつは真正クレタ人なのだ。

考えていることと反対のことを言うしか、芸も能もない!せいぜい、足が多少速い程度。前回リンチしたコマキちゃんでももう多少芸がある。足すら遅い無能藤田が何自分のこと棚に上げてと皆さん思っても考えていることと反対のことを言ってほしい。

APMワールドの千尋の谷より深いみ懐は、あらゆる種族を受け入れる用意がある。思えば「ばいきんまん」とかいうわけわからんキャラクターもいる。人体や食物に害を為す細菌やウイルスを総合的に司っている諸悪の根源。アンパンマンに楯突く行いのよろしくない諸キャラは往々にしてなんだかよく分からんキャラ立ちであることが多い。ひょっとすると彼らの社会落伍は、彼ら自身のモチーフのマージナリティに起因するのかもしれない。この仮説が正しいならば、この妖精はAPM界を震撼させる大悪党でなくてはならない。

 

妖精F*CK!(大音声)

 

いくつか疑問もある。この妖精はあまり知的でないからか、「おいしくないぞ」「嫌いだぞ」「遊びたくないぞ」等々アホみたいに簡単な文しか喋らない。

じゃあ「AならばBだ」みたいな少々複雑なことを言おうとすると、どうなるのか?

妖精バックがその殺しの手腕を買われ、ヨークシンシティで行われる競売の護衛に抜擢されたとする。そこは、かねてより幻影旅団の襲撃が確実視されている。該当地域のホテルに宿泊していたノストラード家の令嬢が突如昏倒するが、防犯カメラのモニタールームで待機するバックは、その様子を映した防犯カメラの映像を巻き戻せるか職員に尋ねる。そして、クロロ=ルシルフルの恐ろしく速い手刀を見抜いて、「恐ろしく速い手刀。俺でなきゃ見逃しちゃうね」と言おうとする。

おそらく「私でなければ、見逃す」の裏を言うだろう。「ボクなら、見逃さないぞ!」とか。そしてこの場合これは真である。意図していたことは「見逃さなかったなら、私」と同値である。そしてこの場合、「クロロの手刀を見逃さない人々」からなる集合と「私」という集合は一致しているから、この変態が図らずも真実を述べてしまう。

いや、少々結論を急ぎすぎた。「考えていることと反対のことを言ってしまう」のであった。結果は確定しているのだった!きっと、「ボクなら見逃しちゃうぞ!」とか言う。そしてこのあとクロロとサシで戦い、インドアフィッシュに全身食いちぎられて「なぜ俺は生きてるんだあ・・・」とか言いながら死ぬ。いや、そうは言わない。疑問文を平叙文に意訳すると「私がまだ生きている理由が分からない」みたいになると思うが、目に明らかに複文である。この場合、主節を否定するだけでよいだろう。-f(x)とf(-x)では話が違う。

もしくはこうだ。富・名声・力。この世の全てを手に入れた妖精バックが、死に際に一言放つとする。この場合きっと「財宝か。欲しくてもやらんぞ!」

 

そのほかいくつか考えて見たが、案外なんとかなる。むしろこの奇癖の最大の難点は、お気づきかも知れないが、「思ったことと反対のことを言ってしまうこと」より「思ったことを言ってしまうこと」の方にあるのだと悟った。

ただ、もう手もつけられないのかと聞かれると、そうでもない。「どんぶりまんトリオと妖精バック」において、丼をご馳走するぜ!と意気込むトリオに「食べたいぞ・・・おなかペコペコだぞ・・・」と申し訳なさそうに返事するシーンがあった。申し訳なさそうに、である。おそらくこの変態にも良心はある。自信満々のブスに「よっ!楊貴妃!」とか言わない。奇癖というより持病に近いのかも知れない。

当然こんな鬱陶しいキャラクターはそう何人も居ない。結構ワールド内でも周知されている様子である。彼が社会的に孤立して森の奥深くに閉じこもっていないのは、まず周囲の理解と努力があってこそである。非常にデリケートな話になってしまうが、発達障害のために(彼がそうだ、とする明確な線引きなど到底できないが)些細なことでカッとなってしまう人々がちらほらいる。しばらく前に教育番組で「こころの電話」とかなんとかいって、クラスの癇癪持ちの男子の本心を聞くみたいなのがやっていたが、実際彼らの真意を汲む難しさは並大抵ではない。彼ら自身でも、「そうなっているから」どうしようもないのだろうが、社会生活上いくつかの場面でStrangerとならざるを得ない。(故郷でしているように)土間に土足で上がったり、右側通行したりする者のように。

しかしAPMワールドでは、バックはStrangerではない。それは下には下がいるからみたいな理屈からではない。誰も不審に思わないのだ。「へー!そうだったのか!」とか抜かしよる。誰も「エッ何で?意味分からんくない?」みたいに訝しがらない。彼の持病が比較的平和であるというのもあるが、何にもましてAPMワールド全体が利益社会、ゲゼルシャフトではないという点が大きいだろう。ゲマインシャフトなのである。何らの実務的不利益に関係しない、というか「実務」が存在しないと言える。前回少し見たような悠久のワールドにおいては、あらゆる冗長な人間関係の存在できる余地がある。しかも、複数の社交の場が互いになだらかに連続し合っている。現実の学校のような混沌とした様相を呈したりしない。このシステムによってバック含めた妙ちきりんな連中がうまく社会の網に絡め取られているのであろう。

もうひとつ重要だと目されるのは、彼らの娯楽、特に遊びの謙虚さである。ホモ・ルーデンスとかなんとか言うように、遊びは人間に本質的な行為である。彼らのうち多くは一人で十分楽しめるぐらい贅沢な娯楽を持っていないし、彼らの遊びに要求される「リテラシー」はさほど高くない。APMワールドの住人がポーカーとかやってる絵が浮かぶだろうか。または、カバおくんとウサこちゃん(そんな名前だったんか・・・)が将棋で対局しているシーンなどあったか。「僕将棋好きなんですよね」「ほう。若いのに将棋好きとは見所のある...」「昔はチェスとかやってたんですけどね。チェスの駒は取られたら消えるだけ。でも将棋の駒は取ったら自分のものになる。それがいい」あ、これドラマSPECの最終話で地居が老齢の男性と将棋打ってるシーンです。問題。今、藤井何段?

APMワールドは弱者も悪漢も淘汰しないことが分かった。それは、彼らが一切進歩を生もうとしない種族であるからだ。ワールドで最も進歩的で高い志を持っているのは、何を隠そうばいきんまんである。極左なのだ。しかし、悲しき哉、あまりにも志す事々が低俗ではしたなく、くだらない。この意味でやはりAPMワールドはネバーランドである。もしくは、ひょっとするとこれこそが、これ以上無い至高の存在形態であるとか。