日進ムーンウォーカー

Alien to people, Behind people, Closed to people, Distant from people, Eliminate me Fujita

APMキャラクターエッセイ⑦「くらやみまん」

わたしの前途ですか?

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闇より出でし絶望

https://tgws.plus/anpandb/kurayamiman

↑DB

https://www.anpanman.jp/about/friends/r8h5f37fg341ra3q.html

↑「なかまの紹介」

いや、仲間じゃないから。完全に

 

 

ワールドの住人ならぬ形姿をしている。

到底ミミ先生回の次の回で持ってきていいキャラではない。

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ぼく

まあまあ強キャラ枠で出てくる。

話によって能力が若干異なり、フレーベル館はそこのところの整合性をしっかりとって欲しいのだが、ざっくり言うと、体内が「闇の世界」になっており、取り込まれるとなかなか出られない。

初回では「闇の世界」はあくまでくらやみまんの体積分の広さしかなく、無重力空間だった。なので、世界ー内ー存在(笑)のアンパンマンが粒子加速器ばりに超高速回転して激しい気流を発生させることで、くらやみまんを破裂させて勝利していた(おぞましい)。また、「闇の世界」の中では猛烈に眠くなるのだという。

しかしそれ以降、広さ(おそらく)無際限のパラレルワールド的な空間になっていたし、重力もあった。が、空を飛べなくなるというデバフがついてくるようになる。一方、催眠効果はなくなる。ブレブレじゃん!

 

このブレブレマンであるが、実はこの第一被害者は、砂場で遊んでいたカバおたちだった。まずいきなり出現して(東山スカイタワーぐらいある大男がいきなり出現する時点でもう恐怖である。浜乙女のCMか。)、急に手品を披露する。意味不明過ぎて草だが、一通り手品を終えると、お代として食べ物を要求してくる。

大学の先輩方とインドまで旅行したとき、ガンジス川の流れるヴァラナシという街に行った。川の西岸はアホみたいに賑わってるのに対して、なんでか対岸はマジで「彼岸」だった。一度、朝早くにボートで川を渡ってその「あの世」に下りたったことがあった。すると、我々を察知して数人のインド人が接近してくる。結構年いってるインド人Aが、赤黒い汚い歯を見せながら満面の笑みで握手を求めてくる。警戒しつつも渋々応じると、猛烈に手を揉んでくる。すると、周りのヘラヘラ笑ってるインド人たちが「マッサージ」と口々に言う。歯の色をしてない歯が至近距離でチラチラ見える。最後にインド人Bがガイドに向かって何か言うには、「お気持ち」を求めているらしい。

それは「お気持ち」とは呼ばない。

BBマンは、自分の帽子が一杯になるまで欲しいという。多分入れるものによるが1tぐらいにはなるだろう。業者案件である。そもそも食料狙いなら、完全に相手を間違っている。しまむらに陸上のスパイク発注するようなものである。

当然「お前が見せてやるっていうから見てやったんだろトンマ!ブチまわすぞワレ!」と歯茎を剝いて目を剝いて烈火のごとく怒り狂い、アマゾン時代(?)の野性全開で猛抗議するカバお(フィクション)。そして逆上したくらやみまんの手にかかる。

 

ただ、「くらやみまんの逆襲」の回では、完全にアンパンマンへの報復を目的として来襲する。民間人に顔を分け与えたせいで本調子じゃないアンパンマンはひとたまりもない。まあ、どのみち新しい顔で元気100倍になるのだが。

最終的にアンパンマンとくらやみまんの頂上戦争になる。

くらやみまん「おっとっと無駄だぜ!!俺の前では”能力”は全て無駄!!!」

       ギュオオオ!!

      「”闇水”!!!ゼハハハどうだもう地震は起こせねェ・・・」

アンパンマン「・・・・・・(薙刀でくらやみまんの肩に斬りかかる)」

       ザク!!

くらやみまん「!!!オ・・・ゴワアアア!!!」

      「ハァアアアアッ!!!痛ェエ!!!畜生ォ・・・」

アンパンマン「過信・・・軽率・・・お前の弱点だ・・・・(くらやみまんの顔面を 

       鷲づかみにする)」

くらやみまん「い・・・・・・え!!?オイやべろ」

       ブゥー・・・ン

      「ぎゃあ~~~やべろォ!!!オヤディ!!!

       おれ゛は息子だど本気で殺スン・・・ああああああ」

       バカッ!!!

 

 

ところで、くらやみまんは一体何がしたいのだろうか。

何のために生まれて、何をして生きるのか?

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わからないまま終わる

この2つの問いは、「ゴール」と「経路」を聞いてる(のだと解釈した)。 

「何のために生まれて」の方は、渋い。サルトルは既に「実存は本質に先立つ」と断じているし、多分何のためでもない。

ただ「何をして生きるのか」は問題である。「ロールパンナとくらやみまん」において、BKMの「世界を闇で包みたいなら俺の言うことを聞け!」という発言に賛同していたが、動機も目的もまるで分からない。何者なのか。

前回、APMワールドの住人は「与えられること」によって社会の一員となっているのだと分析した。目に明らかにくらやみまんは反社会勢力である。社会は多次元の座標軸のような働きをして、成員に「座標」を与える役割がある。つまり、自身を相対化する機会が無数にある。一方で、社会の外にいる者は0次元である。自身が絶対の点とならざるを得ず、自分は何者でもない。これがアンパンマンに敗北する前のくらやみまんである。

ワールドには結局死がなかった。何者でもないまま過ごすときの本質的不安の苛みは、生が死によって相対化されることで初めて生じるものだと思う。社会と死から隔絶されたくらやみまんには、それがない。妖怪なのである。または、現象でもあるかもしれない。本当の意味で「生きているだけ」である。

モチーフにも関連があるだろう。食べ物や飲み物や生き物には「過程」「ストーリー」があり、「なされる」ものである。一方で暗闇という無機的な、というかもはや無機有機とかではなく物質ですらないが、こういうモチーフには「過程」「ストーリー」がなく、「なる」もの、IndependentでSpontaneousなものだ。つまり、本質的に絶対的で非時間的な存在なのである。

特にばいきんまんに唆されたわけではないくらやみまんによってくらやみに閉じ込められてしまった住人にとって(つまり先ほどのカバおくんたちのような人々にとって)、こんな不条理はない。なぜなら、くらやみまんには理由も目的もないからである。もはや災害である。あるいは、死である。

いっそ、くらやみまんに死を代行してもらうというのはどうだろう。名前も『死』マンにあらためて、パン戦士一同は、一切この『死』マンに干渉しないと内約する。

おそらく、ワールドに宗教が生まれる。教義・教説が構築され、それが神聖視される。そしていつかばいきんまんは必ずそれに抵触する。住人たちは、かつてなかったほど激烈に怒り狂う。殺意を漲らせたパン戦士一同が、異常な執念をもってばいきんまんを瀕死においやり、大衆の面前に引き出す。ばいきんまんは、僅かの情けもかけられることなく惨殺される。だろう。

風が吹けばアンパンマンが儲かる。フレーベル館は、儲からなくなる。