日進ムーンウォーカー

Alien to people, Behind people, Closed to people, Distant from people, Eliminate me Fujita

筆不抄(21):岐阜大Tシャツを着た男について

更新頻度に構っていられなくなった私である。この調子では当分週1更新が関の山かもしれない。

それと今後しばらくの更新は、近況について綴ることになるだろうと思っている。ここ最近は目前に迫る圧倒的リアルから目を背けられずにいて、ブログと向き合っている間にも、背中越しに圧迫感に近い存在感に脅かされ続けている。昨年秋から半バーチャルの住人だった私の脊柱をクラッシュしかねない圧でである。

 

 

ところで、岐阜大学をご存知だろうか。

岐阜大学を知らない人でも、その大学が岐阜県にあること、または岐阜県にそのような大学があることは分かると思う。

岐阜大学はしばしば駅弁と揶揄されるが、質実剛健な県下唯一の国立大学にして、東海国立大学機構の癒やし担当である。

先日、その岐阜大へ行ってきた。目的は岐大アパレルを得るべく、静大の仇を岐大で晴らすべく、である。

 

私のこの非常な執心について不思議に思う方もいるかもしれない。実は、大学アパレル収集には大学1年のときからボチボチ関心があった。中でも、とりわけTシャツについては特別そうであった。

 

思うに、Tシャツは非常に「あからさまな」ファッションのスタイルである。Tシャツは、まるで着る者を誤魔化すということをしない。かつ、そのデザインに表現されるところのものを、少しも誤魔化すということをしない。素朴が過ぎるあまり、かえって不遜でさえある。そういうファッションであるように思う。

誤魔化されない主体がファッションへの”参加”を余儀なくされるという点で、またこのうえなくアクチュアルなファッションのスタイルでもあるように思う。背と腹のデザインに不誠実であることは許されない。私はそのようなファッションであるところのTシャツが好きだ。

 

そのようなファッションであるところのTシャツに、大学名が載るということはどういうことか。

そのことを問う前に、思い切ってこのような問いをぶつけてみたい。

ぶっちゃけ、大学とは何か?

考えつく最も賢い回答は、「文脈による」というものだと思う。この回答が最も賢明に思われるということが直ちに示すのは、ある大学がもつ多種多様な”面”を一挙に統括する「大学名」の響きの重さであろう。

「大学名」を侮っている人に、私は教えてあげたい。日夜受サロ板で繰り返される粗野な拳による争いの風景を。それだけではない。

現在、2022年に開学予定の大阪公立大学が、英語名称を巡って阪大とバトっている。京都造形芸大と京都市立芸大は、名称変更を巡って法廷での殴り合いにもつれ込んだ。首都大が昨年名称変更するまで「都立大」という歴史ある名前を捨てた過去をなじられ続けていたのを、まさか知らないなんてことはなかろう。

段落頭の問いに戻ろう。そして答えよう。

 

 

この人を見よ!

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このとき、私は「岐阜大学」を誤魔化すあらゆる術を失った。私が岐大生であるとないとに関わらず、私は胸元の「岐阜大学」に誠実であるほか無い。

 

 

 

私は、「大学へ行くときはいつもこれを着る」という義務を己に課すことを決めた。

何度かこのシャツを着て大学をほっつけ歩いてみたが、やはり視界に突如現れる「岐阜大学」の文字列は微妙に衆人の目をひくらしい。例えばこれを着て講義に出たら、おそらく他の受講生より僅かに強い印象を与えるであろう。このことは、出席を促すプレッシャーになりうる。

同時に、もし講義を欠席したら、「岐阜大の野郎いないな」と他の受講生に思わせることになる。岐大の印象を下げかねないのである。つまり、「岐阜大を人質にとり」、自身を講義へ駆り出そうという魂胆だ。

 

それともう一つ、人々は多かれ少なかれ岐大Tに奇異の視線を向けるであろう。人々が岐大Tに抱く違和感、不調和な感じ、不審な感じ、・・・その強さは、そのまま私の覚悟”になる”。この程度のアウェーに耐えられない時点で、真正ゴミクズ大学生脱却などできるはずがないのである。私はこれでも、己の業の深さを理解しているつもりである。 

私が岐阜大を人質にとっていると思っているとき、実は岐阜大が私を人質にとっている。岐阜大は私を人質に、私に岐阜大を人質にとるよう迫る。さもなくば、岐阜大は私を押し潰すだろう。

 

岐阜大は、私に圧をかけることで、私にパワーを与える。それは決して穏やかな仕方によってではない。

岐阜大に、私は負けるわけにはいかない。東海国立大学機構に、私は、断固として、負けるわけにはいかない。(1811字)